nest：ぽっぷらいふ：SSブログ

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nest　[凛] [編集]

なんとなく、薄々ではあるが気が付いてはいた。話題には必ず付き物の、単に反対である。
反論するのは容易い。しかも最終的には、それにまつわる感情までもが加味され始める。
これが悪いのかと申せば、全く持ってその通りだ。異存は無い、けれど、なのだ。
なので思い出したが、これは大変小さな単位らしく、一ミリの何億分の一だったと記憶もしているが
実際にそれを指先で感じ取っていたのは、ヨシムラのオヤジさんぐらいだったのでしょう。
「ねぇ、今年も八耐にいくの」
「当然、どう今年はいく?あの単車屋の皆でバス借りていくからお前も行くか、久しぶりに」
「暑いし、止めておく、それにもう乗ってないし」
「だったら乗ればいいじゃん、カメラばっかり買ってないで」
「そういう問題じゃないし」
「じゃーあ、撮りに来れば」
「あんなの好いポジシャン取れなと全然だめっしょ。それにデジカメで300、320mmか
　それぐらいしか長いの持ってないし、前みたいに熱い思いって言うか、そういうの無くなったし」
「仕方ないかな、じゃあ、分かった、俺たち行ってくるから」
「オー、気をつけてな」
「その前にアイス食いに行くけど、お前も行く、乗せて行ってやるよ」
「オウ、行く行く、で、そこ、いるんでしょう」
「来れば分かる。来るんなら早く来いよ、措いて行くぞ」

「最近短大から四大になったところの四回生で、今度就職なんだって、好いと思わん」
「紹介して紹介して。俺好み、あの笑顔といい、言葉遣いといい、あっ、営業用か、それでもいい
　お願いします、神様仏様、原田様」
「ダメー、彼女男いるみたいだし、八耐にも行くみたいだし」
「単車乗るんだ、それで知っていたんだ」
「この前なんか、彼女と泊まりでツーリングに行ったよ」
「エッ、それでやっちゃった」
「男も一緒に来ていたからな、たぶん、じゃないの」
「そんな分けないよね。もう一個買って聞いてこうよかな」
「だからお前と来るの嫌だったんだ、それにしても荒れてるね、どうかした」
「良くぞ聞いてくれはりました。最近さ、なんだかちょっと、あの子が冷たいような気がして」
「あの子って誰」
「誰と言われても、一人は知っていると思うけど…」
「何、二股かけてんのか、電球じゃねぇんだぞ」
「まだあるのかな、あれ。今度電気屋で確かめ」
「思い立ったら吉日、この話は後にして、さっさと食っちまって行くぞ」
「…オー」
この展開の速さにはいつものことだ。置いてけぼりを食うの嫌う僕は焦って食べつくしていた。