2U＋：ぽっぷらいふ：SSブログ

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梅雨のこの時期は、写真撮影を行うにあたってそれなりの準備を必要とする。撮る奴はそこそこに
機材を水滴、水から守るのに必死だ。この様な被害に遭遇すれば、大きな出費を覚悟しなければならない。
ただしこれも、高級機、並びに、最新機種であればいくらかは軽減がなされる。
が、一世代前の中級機種の使用だけに、自ずと完全なる防水対策を行わねばならない。
だがこれも本体だけであって、
レンズへのその対策が施されたものは余りにも少なく高価だ。
スキー、カーレース、サッカー、野球等の撮影時に
天候が不安定となるケースはよく目にする。そんな時にも気遣い無く
写真が撮れる様にとの配慮からだ。それでもほぼ全員の方々は、
ゴミ袋と思われるビニール袋をレンズ、カメラに巻きつけていらっしゃる。
あくまでも、少しぐらいなら濡れてもかまいませんよ、と言った程度に考えておくべきだ。

式典を前に、頭髪並びに服装をも整える必要を感じた。この様な席へのお呼びだけに、
紙面への掲載が自ずと考えられるからだ。その反面
最高位の受賞ではないだけに、このような事実がありえなくても当然ではある。
これも人によっては様々な受け取り方があるのも事実だ。

「実はねぇ、今度の土曜日に表彰式があってさ」
「あっ、写真でしょう」
「よーくご存知で」
人間誰にだって得手、不得手がある。偶々僕にはそれが
写真であったとしてもおかしくはない。

「で、やっぱり、スーツを着ていったほうが良いよね」
「そのほうが宜しいかと」
このとき心なしか、引け目を感じてしまう。
決めかねていた懸念事項だけに、後ろ盾が欲しく必要だったのだ。
僕のスーツ姿を羨望の眼差しにもた似たあの眼差しは今でも忘れない。これで洋装は決められた。
例えそれが上の空であったとしても。

「電車のある風景写真なんて、今一ピンと来ないから
　朝日のある風景か日が沈む瞬間を狙うしかないかなと思って
　撮りましたが、いかがなものでしょうか」
「おっ、やるな」
「で、しょう」
「まっ、少し言わせてもらえば」
「エッ、なになに」
「なんていうのこうグッと来るものが薄いと言うか、ないと言うか
　ビシバシっと、ええいこのアマが成敗してくれる
　お代官様、もうおやめになって
　何、ずるるる、なあお菊とやら、今宵は一緒に共にせぬか
　あっ、何をなさいます。そのようなことを
　お許しくださいませ、お代官様
　そうようのう、今すぐ金をそろえられぬと申すなら、お菊、娘はもらっていく」
「……………」
酔いが回ると佐々木の独壇場だ。長い付き合いだけに、この十八番も懐かしい。すると
「この紋所が目に入らぬか」
で締めくくられていた。