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あれから互いの気持ちもさえも確かめずに、各々は就職をしていた。
あの彼女は百貨店が持つ、仕入れ担当部門に配属され、今のところは主にその管理を任されるらしい。
一方でこの僕は、大手生命保険会社に籍を置いていた。と言うのも、入社試験をパスしたにも係わらず、
正社員での採用は研修期間中の活動結果に依存していたからである。聞くところによれば
正規雇用されてから何年ものあいだ正社員とし認められなかった方がいる、らしい。
社員ともなれば個人契約のみならず、法人契約に主眼を置くからに他ならない。
お金云々よりも、口説いて口説いて、口説かれて、が好きな僕には、うってつけな仕事には違いなかった。
でもそれには多くの資格も必要とした。一生勉強だと人は言うが、正しくその通りで
学生時代には無かった、寝る間を惜しんでの盛り場をうろつく行動が目に付き始めた。

「どう、会社のほう」
「わりと皆さん親切で、いいひとばかりよ、あなたのところは、やっぱりきついでしょう」
「そのとおり、どうにかなりそうだよ。入んなきゃよかった。地元に残ればな、」
「だったら早く戻ってきなさいよ」
「そうしてけれど、アーあ、鷲田がうらやましい」
「辞めるんなら今のうちだって、だから言ったのに。目先の金に目が眩んじゃって。
 ツーリング行く暇も無いんでしょう」
「ツーリングか、エンジンは毎週かけてはいるから、まだ腐っては無いよ、
 動物さん達と行っているんだツーリング」
「そっ、毎週。この前六甲へ行ってけれど、よかったわよ。それにさ今度
 小沢も戻ってくるみたいよ。そうしたら今度はどこへ行こうかしら。どっか知らない」
「お気をつけて、ごゆっくり、またどうぞ」

羨望の眼差ししか残らぬ電話だ。今後の予想が容易なだけに、思案するにも時間は要しなかった。
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EF135L

あんぱんち~様_ナイスをありがとうございます。

xml_xsl様_ナイスをありがとうございます。
by EF135L (2009-06-08 14:25) 

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