「どちらが好いと思う」
少しだけ首をかしげ
「こちらが宜しいかと思いますが、」
と言った。蝶を正面からと斜めから撮影した写真の両方が写しだされた画面を指差しながら。
「じゃあ、これとこれ、一枚ずつプリントをしてください」
正直言って驚かされる。真正面から初めて写した写真を
絶対に選んでくれると思っていたからだ。自身はあった。でも仕方がない。
何枚もの写真を見た来た彼女が選んだのだから。心残りはある、
でも、これを待ち望んで来たのだから。
プリントに十五分ほどを有する。その間、店へ来ていた
初老の方から話しかけられていた。なんと、使用カメラが同じだっただけに。
「RAW(ろー)でしか撮影しないので、8ギガのメデァを買おうと思うのですが、」と言えば
「私なんかJPEGでしか撮らないから必要ないよ」
しかもその差はないよとまで言う。この回答からは次の言葉を失う。カルトな情報は期待出来ないものの
暇つぶしの相手になっていただくしかなった。お店プリントにおける、これが唯一の楽しみなのかも。
だってついこの前までは、自宅プリントが優位、十分と感じていたからに他ならない。
だが、最近になって、特にコンテスト等への応募に際して、
お店プリントが必須と感じたからだ。昔は好きになれなかった、嫌いだっただけにも係わらず。
見る目が変わったのでしょう、。