深まってきたわけ。だからって秋らしい写真なんか撮れないの、分かる?
そこで花らしくない紫色した植物にキスする
蝶を撮ったのね。まっ、これがその中の一枚なのね、
でも君って前にA4サイズで見せた鴨の写真が欲しかったんだよね。
しかもこれはA3だし、蝶の写真が欲しいと仰られる方に渡すよ、
それとA3サイズの写真を二十枚以上プリントしたから
インクがなくてお困りなの。でもそれじゃ手ぶらで悪いから
昔、とは言っても最近ね、その用紙エプソンでしょう?
だからこれ貰ってくれるかな?」
「ちゃっと開けて見るわね?・・・・・・・・そうみたい。」
「それと昨日コンテストに出す写真を見せたよね。
その写真なんかとはほんのちょっとだけ仕上げが違うんだ。」
「本当全然違う、同じ写真なのに。何か遣ったわけ?」
「説明しても良いけれど、それだと気に入らない。だったら引き取りますよ。」
「いいわよ、全部を頂戴します。」
「ありがとう、だったらまだまだあるから持ってくれけれど
貰ってくれるかな?」
「良いわよ、じゃんじゃん持ってきて。部屋に飾るから。
ただし2L以下よ。」
こうして夜は更けていくが、大型プリントしか頭にはなかった。
何故なら、面白い様に仕上げられるからだ。
ところで付き合いだして、ここ一年位になるこの彼女は
写真について云々してくれる唯一の存在だ。であるからして、 おばさん的な要素は否めない。しかも年齢は不詳なだけに
なんとなくそれなりに感じ始めてもいた。
そのうちに?もう"恋"なんて、したくはないと・・・、てか。