相も変わらずその店は、込んでいた。プリントアウトをする為にだけ
メディアに記憶された情報を選択する機器には、まだ多くの余裕があった。
しかも意見を伺うにはちょうど良い席も空席のままだ。DVDをポケットから取り出し
ディスクトレイへと閉じ込める。読み込みに少しの不安をも過ぎるが、少しの自身はある。
前回に来た時であろうか、そのメディア内のファイル全てが読め出せなかったのだ。
時間を追うように待つしか方法はない。ところがである。初めてと言って良いだろう
全てのファイルの画像が表示されるではないか。久方ぶりに書き込み後にチェックするポイントを
クリックしたのが功を奏したと考えられる。侮るなかれ?
後悔先にたたず、等と申すが、書き込み時に多少の時間が短縮できるにせよ
残念なことをしていた。ただし同じ使用機器であれば問題はない。
にしても、記録メディアのファイル全てを見れる感動はいつしか喜びに代わっていた。

ここ最近でしょう、お店での大型プリントをお願いするようになったのは。それまでは
コンテストへの応募でさえ、自宅でプリントアウトしたものを使用していた。
ところが最近ではお店でのプリントが欠かせないものに変わりつつある。以前に比べ、
詳細な色、形、奥行きに、表現べき情報が皆含まれているからに他ならない。
実はこれもここ最近に感じるのだが、それまでは色はベタッといった感じで
のっぺりとした感じに写っていたからだ。ところが最近はその傾向が全くなくなり
こんな情報があったのかと驚いている。伊達にテレビコマーシャルはしていない。
その術をも手にしていたのだ。

「お待ちのお客様、出来上がりましたよ」
「どーれどれどれどれ、傷チェック、なし、なし、よーし。後はタイトルだな。何かない、良いの」
「……………………」
「……………………」
その時にいた店員と二人は、写真を明け暮れるまで見つめるだけ見つめ、寡黙は続いた。