嘘の様に12月になった。冬本番に備えるにはちょうど良いお日柄だ。まるで絵に描いた牡丹餅.エッ!

それで手はかじかむ。ギター等の練習には不向きだ。手につららをぶら下げながらの練習、オーイ、改め

指先の角質化が更に進行するのだ。だったなら、暖房、空調設備の使用を考慮すればよかろう?と

仰るやもしれない。もちろん電気ストーブの利用はある。それでも意識がもうろうとする限界までは

決して点けない。何故なら一人耐えるのが好きなのだ。

「隊長、なんだかすごく眠くなりました…」

「オーイ、村里隊員、寝るな。眠るんじゃない、寝たら死ぬぞ!」

「いいんですどうせあたしゃなんか、どうせ誰も…」

「バカ!なにを言っている。おまえの事はみんながほめていたぞ!特に真理ちゃんなんかが…」

「エッ!マリが。」あのマリが。でも彼女は楽譜スラスラ読めるし俺なんかとてもとても…

それに人の妻でしょう、いい子だったんだけどもっと早くに知り合っていたなら…」

「だったら裕美はどうだ!」

「だったらはないでしょう?いくらなんでも。あの子も可愛くて良かったけれど」

「オーすまんすまん。人のもんだったよな、ところでほらコンサートへ一緒に行くって言っていたあの子」

胡坐を組んだ状態で手を広げながら、

「沙織か?落ちるのは時間の問題だ。まあ今度連れて来てやるよ、その時はご馳走しろよ!」

「お前誰に向かって言ってんだ!しかもその態度。心配をして損をした」

「ほな寝させてもらうわ」

「いつまでも寝てろよ。ほな止めさせてもらうわ、さいなら」

「ありがとうございました」

てな訳でまた。ありがとうございました。